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【事例あり】アルミ板金加工の特徴とは?難しさや取り扱い上の注意点も紹介

2022年10月04日

薄い板状にした金属材料を用途に応じて加工・変形することを「板金加工」と言い、中でも板金加工されたアルミニウムは軽量で耐食性に優れていることから、様々なシーンで活躍しています。

しかし一方で、アルミは非常に繊細な金属ですので、取り扱いには高い技術が必要となります。

そこで今回は、アルミを板金加工する際の特徴や加工する難しさについて解説します。

また、私たち今井工業の板金加工事例や、アルミを取り扱う上で注意すべきことついてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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アルミ板金加工の特徴とは

板金加工されたアルミは、機械部品や電子部品といった小さなものから、電気・電子機器のカバーやフレーム、机や収納ラックなどの家具、流し台や郵便受けなどの住宅設備、飛行機や新幹線といった大きなものにまで、幅広く活用されています。

というのも、様々なシーンで板金加工されたアルミを採用する理由には、以下のような特徴があるからです。

  • 他の金属に比べて軽いため、製品の軽量化に役立つ
  • 軽さの割に強度が高く、他の金属を添加することでさらに強度が上げられる
  • サビや腐食が発生しにくく、アルマイト処理(表面処理)することでさらに耐食性が上げられる
  • 柔らかく融点が低いため、任意の形に変形させやすい
  • 熱伝導性・電気伝導性に優れている

特に自動車業界では、電動化に向けた軽量化技術の実現や環境問題への取り組みとして、部品を鉄からアルミに切り替える開発が世界各国で進められています。また産業機械・機材の素材においても、鉄に代わる金属素材として需要が高まっています。

アルミを板金加工する難しさとは

アルミの板金加工(PEGA357)

次に、アルミを板金加工する難しさについてご紹介します。

柔らかいためキズや凹みがつきやすい

アルミはとても柔らかい素材のため、キズや凹みがつきやすく、取り扱いには注意が必要です。

金属の硬さを表す尺度の一つに「ブリネル硬さ(単位:HB)」という試験方法があります。ブリネル硬さは押し込みによって金属の硬さを測定する方法で、鋼球などの圧子(試験材料である金属に押し込まれる物質)で試験材料にくぼみを作り、残ったくぼみの表面積から算出される数値で硬さを評価します。数値が低いほど柔らかく、高いほど硬くなります。

アルミニウムのブリネル硬さは15HBであるのに対し、銅は約2.3倍の35HB、鉄は約7.5倍の112HB、ステンレスに至っては約83倍の1250HBとなっています。

金属 ブリネル硬さ(HB)
アルミニウム 15HB
35HB
112HB
ステンレス

(鉄+クロム+ニッケル)

1250HB

アルミニウムの加工性が優れているのは他の金属にはない柔らかさに起因するものではありますが、一方で、ちょっとした衝撃でもキズや凹みがつきやすいため、板金加工時だけでなく、移動や運搬する際も丁寧に取り扱わなければなりません。

そのためには、アルミニウムの触り方や動かし方を熟知しておく必要があります。

融点が低いため溶接が難しい

アルミの融点は約660度と他の金属に比べて低いため、溶かして変形する鋳造に適した金属です。そのため、標準化された部品や製品を大量に生産することが可能となっています。

反対に、融点が低いと溶接が難しくなります。理由は、熱によってアルミが溶け落ちてしまうからです。

加えて、アルミは熱伝導性が高いため熱変形が発生してしまったり、溶加材がうまく溶けず溶接できなかったりといった難しさもあります。

金属 融点
アルミニウム 660 ℃
1084.5 ℃
1536 ℃
ステンレス

(鉄+クロム+ニッケル)

1400~1500℃

溶接の失敗を防ぐには、アルミへの入熱管理や溶接時間の短縮、工場内の環境作り、そしてこれらを実現することができる職人の高い技術力が不可欠だと言えるでしょう。

強度が低いため破損しやすい

今井工業の自社倉庫

アルミは他の金属に比べて強度が低く、些細な衝撃で破損しやすいという特性を持っているため、重ね置きは避けたいところです。したがって弊社では、傷がつかないように自社倉庫にて大切に保管しています。

また、アルミが持つ「他の元素と結びつきやすい」という性質を活かし、他の金属を添加してアルミ自体の強度を上げる方法をとることも可能です。

例えば、アルミニウムに銅やマグネシウムを添加したアルミニウム合金「ジュラルミン」は、変形しにくく燃えにくいという性質が加わり、精密機器や現金輸送で使用されるジュラルミンケースの素材として使用されています。

また、ジュラルミンより銅とマグネシウムを多く添加したものを「超ジュラルミン」、さらに亜鉛を添加したものを「超々ジュラルミン」といい、かつては戦闘機や鉄道に使用されていましたが、現在は工業製品などで活躍しています。

この他にも、マンガンやシリコンを加えたアルミ合金があり、それぞれを分類するために下記のような4桁の数字が割り当てられています。

国際アルミニウム合金名 添加
A1000系 純アルミニウム
A2000系 銅(Cu)
A3000系 マンガン(Mn)
A4000系 シリコン(Si)
A5000系 マグネシウム(Mg)
A6000系 シリコン(Si)

マグネシウム(Mg)

A7000系 亜鉛(Zn)

マグネシウム(Mg)

先頭のAはアルミニウム(Aluminum)の略称となっており、主に添加されている金属によって分けられています。例えば、ジュラルミンはA2017、超ジュラルミンはA2024、超々ジュラルミンはA7075と表記されます。

アルミの板金加工手順

アルミの板金加工手順

アルミの板金加工は、下記のような手順で進めていきます。

①設計
②資材調達
③機械加工(切断・穴あけ・曲げ)
④溶接
⑤仕上げ
⑥アッセンブリ(組み立て)
⑦倉庫保管
⑧納品

板金加工のみ扱い、アッセンブリ(組み立て)は他社に依頼するという会社もありますが、弊社では設計からアッセンブリまでの一貫生産体制をとっています。

それぞれの詳しい加工方法や使用する機械については「アルミの加工方法を解説|特性や加工の種類も紹介アルミの加工方法を解説|特性や加工の種類も紹介」にて解説していますので、併せてご覧ください。

アルミの板金加工事例

最後に、弊社今井工業が板金加工したアルミ製品の一例をご紹介します。

カバー(穴あけ+曲げ)

アルミの板金加工事例「カバー(穴あけ+曲げ)」

素材:A1100/板厚:t1.5

こちらの製品は、純度99.00%以上のアルミニウムに少量の銅を添加したA1100を使用したもので、板厚はt1.5となります。アルミニウム自体の特性が色濃く、熱伝導性・電気伝導性に優れている素材のため、台所用品や照明器具等の部品として使用されることが多いです。

板金加工の方法については、穴あけ加工と曲げ加工が施されています。

ケース(箱曲げ)

アルミの板金加工事例「ケース(箱曲げ)」

素材:A1050/板厚:t1.0

こちらの製品は、成分の99.50%以上がアルミニウムと純度の高い素材A1050を使用しています。板厚も豊富なことから最も広く使用されているアルミ素材となっています。

板金加工の方法については、曲げ加工(箱曲げ)が施されています。

コーナーあて(斜めカット+曲げ)

アルミの板金加工事例「コーナーあて(斜めカット+曲げ)」

素材:A1050/板厚t2.0

こちらの製品も先ほどと同じくA1050を使用しており、板金加工については斜めカットと曲げ加工が施されています。

A1050はアルミニウムの純度が高いことから、アルミ本来の特性が出やすい素材です。そのため構造体には不向きですが、こちらの製品のように、耐食性・加工性が活かされる日用品や電気器具、強度が求められない部品などに最適な素材だと言えるでしょう。

アルミ板金加工は「技術の継承」がポイント

アルミの板金加工には、切断や穴あけ、曲げといったものがありますが、中でも難しいのは熱が加わる溶接です。

アルミは熱が伝わりやすいため、歪みが生じることを想定して加工する必要があります。そのためアルミの板金加工は、いくら最新の機械を導入していても、様々な経験を積んだ職人がいなければ成立しないといっても過言ではありません。

これほどまでに繊細なアルミを金属材料として採用する最大のメリットは、やはり製品の軽量化に貢献できるという点があげられるでしょう。

そのため、「製品の軽量化を検討している」「アルミを使った機械・機材を作りたい」とアルミの板金加工工場を検討されている方は、技術の継承がなされているか?といった部分にも注目して発注先を比較されることをお勧めします。

アルミ板金加工は大阪堺市の今井工業へご相談を

アルミ板金加工は大阪堺市の今井工業へご相談を

今井工業はアルミ溶接から始まった板金加工会社で、昭和25年に大阪・堺市で創業して以来、蓄積されたノウハウと高いアルミ加工技術で、関西圏にある多くのメーカー様にお力添えし続けてきました。

今井工業の強みは「設計→資材調達→機械加工→溶接→仕上げ→アッセンブリ→倉庫保管→納品」の一貫生産体制で、打ち合わせ〜試作〜量産までのすべてをトータルサポートできることです。

農業機械や産業機械、空調冷熱機材、医療機材等の製造をご検討されている方、また、アルミ加工についてお困りごとがある方は、試作だけでも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。